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野菜づくりレポート
2018.03.29

農天気代表 小野淳さんの『農』天気ブログ/日本農業の英知「農業全書」を読む!No.2

日本農業の英知「農業全書」を読む! No.2


~巻の一、農事総論、糞 より~



 
先日(3/25)春休み特別企画ということで、東京湾の埋め立ての町、豊洲に出張してきました。東京ガスのガスの科学館「がすてなーに」という施設での「うんちワークショップ」です。

今までも半屋外(商業施設の屋祢下など)でのワークショップは経験がありましたが、完全室内の農体験はは初めてです。
 
子どもが退屈しないように「おいしい野菜ができるう○○のパワー」ということで、畑の烏骨鶏、自宅で飼っているウサギに加え、「はたけんぼ」の人気者、リトルホースのジャックとダンディ、羊のアマエルのウンチをもっていきました。

「うんちクイズ」や油粕を加えて発酵させ温度が高くなったウンチに触ったり、ミニ畑づくり(ポットで苗植え)など、1時間何とか楽しくできたと思います。
これからさらに「屋内農体験」実践していきたいと思います。

さて、江戸時代の名著「農業全書」(1697年)を読み解く、前回の反響の良さに気をよくして第2弾です。
 

今回のテーマは「糞」


 
上農夫は糞を惜しむこと黄金をおしむがごとしともいへり。
 
化学肥料はもちろん存在しない江戸時代、もちろんほとんどすべてが有機肥料、天然肥料です。その中でもよく畑わきにあった「肥溜め」の話や、江戸の町の糞尿を回収し、船で運んだ「下肥舟」の話など、下肥=糞尿利用の話は有名なところです。

綾瀬川を航行する下肥運搬船(昭和20年代)葛飾区郷土と天文の博物館HPより

 
舟で糞尿を運ぶ下肥舟は1940年代まであったそうですし、肥溜めも1960年代までは残っていたということですからかなり最近まで人糞も利用されていたということがわかります。
最近はもちろん下水処理場で処理されて埋め立てられてしまうわけですが、ちょっともったいない気もします。エネルギーとして有効活用できないものでしょうかね?
黄金のように扱うのがなにせ上農夫なのです。

※肩書が「代表取締役農夫」なので、僕も糞を黄金のように扱って「上農夫」になりたい!

 
しかし、こうした人糞利用は「糞」の中でもちょっと高級品でした。それもそのはず、都市が栄えればまとまった下肥回収もできたでしょうが、多くの農村ではせいぜい自分の家族の糞尿を利用するのが精いっぱい。農業を賄うには全く足りません。
ちなみに「農業全書 巻の一 農事総論 糞」も「くそ」ではなく「こえ」と読みます。
 
薄く痩せたる地に糞(こえ)をもちゆるは農事の急務なり。薄田を変じて良田となし、痩せ地を肥地(こえち)となす事は、これ糞のちからやしないにあらざればあたはず。
 
同じこえという読みでも田畑に肥料分がある状態を示すのは「肥」で資材としての肥料は「糞」と書いたということがわかります。
 
田畑を肥すに、苗糞、草糞、灰糞、泥糞の四色あり。
 
気になりますね。4種の肥料、これが一般的だったということです。
 
答えを言ってしまうと
 
苗糞→マメ科植物などの緑肥、一番いいのは緑豆、次点が小豆・ゴマ、そして大豆、そら豆という上緑肥ランキングまでついている
草糞→雑草木を刈りとり、家畜の厩舎に敷いて踏ませ、糞尿とブレンドしたのち堆肥場で再発酵させたもの
灰糞→草木灰など。単体で使うよりも、発酵肥料と混ぜることでガスの発生による肥料焼けや腐敗などを防ぐ調剤として使われていた
泥糞→池や川底の泥を汲み上げて乾燥させたもの。これも嫌気性菌が多いため、ほかの肥料
とブレンドさせて使うよう書かれている
 
これに加えて
水糞→人糞尿、沐浴や洗濯などの生活排水をためたもの
 
があります。
基本は 苗糞、草糞 の2色の植物性肥料をもちいて、
灰糞・泥糞・水糞は作物に応じて調整する役割として植物性堆肥にブレンドして使うということです。
身の回りの有機物を活用して野菜を育てる技術の基本はすでに17世紀には確立していたということがよくわかります。
さらにどんな土地にどんな糞がいいのか、まくタイミングなどについてもかかれています。
 
個人的には緑肥としてゴマが上位ランクインしているところが意外でした。マメ科はよく根粒菌の力で窒素を固定化するからなどと言われますが、ゴマは何が効くのでしょうね?
糞の章も読みごたえがあるのでお勧めのポイントでした。
 
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前回の「日本農業の英知「農業全書」を読む!~巻の一、農事総論、耕作より~」はこちら>>https://myfarmer.jp/blog/20180305blog/
 
 
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