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2018.04.09

農天気代表 小野淳さんの『農』天気ブログ/都市農地解放!?都市の農地を使ってこんなことができる

農天気代表 小野淳さんの『農』天気ブログ


都市農地解放!?都市の農地を使ってこんなことができる


~「都市農地の貸借の円滑化法」成立の見込み~



 
今回はちょっとお堅い農地関連の法律のお話です。
4月5日「都市農地の貸借の円滑化法案」が参議院を全会一致で通過しました。
これから衆議院での議決がありますが、もはや成立目前ということで、関係各位のなかでは「いよっ!まってました!」感が満載になってきています。
家庭菜園をはじめ農ライフを楽しむ皆さん、食農関係の新ビジネスを考えている皆さんにとってはかなり大きな変化が間近に迫っているという一大事でもあります。
なるべくわかりやすく「何がどう変わる?」の予測を私なりにしてみます。
 
ものすごくざっくりいうと、この法律の成立により

農家だけではなく企業や団体、新規就農者も都市農地を借りて活用しやすくなります


 
今までも市民農園やマイファームのような体験農園など十分に活用されてきているのでは?と思う方も多いかもしれません。
しかし、実は市街化区域と呼ばれる宅地化を優先的進めるよう定められた都心部では農地の貸し借りは実質的にはほとんど不可能でした。
ですので都心部にある市民農園などは
 

  1. 農家自らが開設している(運営サポートの会社が入ることはある)

  2. 農地ではない土地で開設されている


のどちらかでした。
 
なぜそのようなことになっていたのでしょうか?
 
それは都心部の土地は資産価値(いわゆる坪単価)が高いため、
地主自らが農業を継続する目的で耕作される場合のみ固定資産税などを大幅に減免されてきたからです。
そして、それを可能にしてきた法律が「生産緑地法」です。
 
税金が安くなるのは「地権者とその家族が耕作している場合に限る」ということなので、今までは生産緑地の貸し借りは不可能とされてきました。
今回の新法成立で生産緑地の貸し借りがあっても税金が安く保たれることとなります。
さらに言うと、地主がなくなった際に、相続人が農業を将来にわたって継続する場合には相続税の納税を猶予されるという仕組みもあります。
その仕組みはさらに厳しく「自ら耕作」が条件となっていましたが、この相続税等納税猶予農地の貸し借りもできるようになりますこれはかなり大きな方向転換です。

なぜこのような法律ができたかというと「都心部にも農地を残すべき」という世論の高まりと、人口減社会におけるより良い都市の在り方を考えた場合、農地を残して防災・教育・福祉・まちづくりなどに活用したほうが価値が高いという考え方の浸透があげられるでしょう。
より詳しく知りたい方はこちら
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2017pdf/20171109033.pdf
 
 
と、前置きが長くなりましたが
要は今後どのようなことが都市の農地をめぐっておきていくのでしょうか?
ここからは私の予測です。
 
①企業やNPOなどの法人が堂々と自社ブランドを掲げた市民農園ができる
いままでは運営サポートという立場だったのであくまでも看板は地主さんの名義でした。しかしこれからは市民農園を開設していることを堂々とうたって集客することで会社のブランドイメージを印象付けようという取り組みが増えるでしょう。
有名企業グループの市民農園業界への参入も増えていくと思います。
②都市農家が「農業法人」を設立して農地を拡大、雇用も生まれる
いままでは農家といえども生産緑地を借りることはできませんでした。今後は農地を拡大して経営規模を大きくしようとする農家が増えるでしょう。その過程で複数の農家が協働することで信用性を増し農地確保力、販売力ともに強めるという動きが生まれるでしょう。新規就農希望者を研修生として受け入れることもさらに一般的になることでしょう
③教育・福祉など公共性の高い事業を都市農地を使って実施する例が増える
農福連携、園芸療法、学童農園など今までも農的な活動を教育・福祉の現場で取り入れることは数多くありました。それをより本格的に生産・加工・体験プログラム・観光などと組み合わせて本格的に実施する団体が増えるでしょう。
 

 
おおよそこの3つが目立った動きとして2018年以降始まっていくのではないかと予測しています。
 
そのうえで、私としてぜひ実現したいのはちょっと違う方向です。
新法ができ、税制など周辺の制度が整うことによって一義的には都市農地の貸借がしやすくなるという変化が生まれますが、私が注目するのはむしろそのことによる副産物的変化です。
 
それは「信用できる企業・団体と連携しようという農家が増える」という変化です。
 
おそらく新法や新税制が広く知れ渡るまでにはかなり時間がかかります。
そもそもが複雑な法制税制的背景をもっているので概要を理解するのにも一苦労というのが正直なところです。農家にしてみればよくわからない制度にのって軽々しく畑を貸すかというと、慎重になる人も多いでしょう。
戦後の農地解放で小作人に農地が譲渡された歴史的過去があるので「農地は貸したら返ってこない」という教訓は今も根強く残っていると感じます。
 
しかし、行政や世論からは「ぜひ活用を!」という期待が高まり、いろんなメディアや行政・農協関係の会合でも話題になることでしょう。
「こりゃなんとかしなきゃな」と農家さんたちが思ってくれさえすれば連携の機会は大幅に増えるものと思います。
 
そうなったときに私が提案したいのがアーバンアグリツーリズムです。
これは農地の貸借とは直接関係がありません。しかし、農家が今までどおりの営農をしながらも外部団体と連携することで副産物的収入を得る方法としてはとても有効な手段と思います。
奇しくも今年2018年は民泊新法も施行。農泊も正式な取り組みとして実施しやすくなります。
「畑を貸すというのはちょっと抵抗あるけど、連携だったらまあ安心かな」という層が増えることにより、都市部の旧街道沿いにある農家屋敷とその周辺農地を観光資源として掘り下げることが可能となります。
 

※留学生との餅つきは大好評でした

 
去年から外国人向けにこんな農園ガイドも始めています。
→Agricultual experiences in Tokyo  https://www.airbnb.jp/experiences/93335
 
ということで私もまさに今、都市農業を活かした農観光について様々な準備をしているところですので、具体的な動きが見えてきましたらまた報告いたします。
 
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文・写真  小野淳
㈱農天気 代表取締役 農夫
NPO法人 くにたち農園の会 理事長
東京・国立市を拠点に幅広く農体験を提供
著書「都市農業必携ガイド」(農文協)
監修・実演「菜園ライフ~本当によくわかる野菜づくり」(NHKエンタープライズ)
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