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【連載】農天気代表 小野淳さんの『農』天気ブログ(終了)
2018.12.07

農天気代表 小野淳さんの『農』天気ブログ /ある中学生の問いかけ 第2回

農天気代表 小野淳さんの『農』天気ブログ


ある中学生の問いかけ 第2回


~「オリンピック選手村で日本の農産物を食べてもらうためにGAPなどの認証をとるべきなのか?」について考えてみた 第2回~



※日本の野菜は外国人にも好評、しかし輸出してまで需要はあるのか?

 

前回に続いてオリンピックと農産物認証の関係について考えてみたいと思います。

>>前回のブログの内容はこちら

 

簡単にまとめると

オリンピック選手村で提供される食材には一定の認証を経たものが望ましいという考え方があって、ロンドン五輪の際には「グローバルGAP(ギャップ)」という認証取得が条件となりました。

 

日本の農産物はそれを取得していないものがほとんど。

「もしかしたら東京五輪で日本の食材が扱われないかもしれない!?」という問題提起があります。

 

それをめぐって「GAPなどの認証を取得し、国際的に価値を認められる農業をを行うべき。

そうすれば日本の高品質農産物を海外に販売するという展開も可能になる」

という考え方があるということです。

 

「そのことについてどう思いますか?」という問いを、ある中学生に芋煮会の最中に投げかけられて、いろいろ考えたことをまとめたシリーズ第2回です。

 

前回は

そもそも「認証」とは「どこのだれがどのように栽培したか不明な農産物を食べるなんて不安だ」という消費者の不信感を公的に認められた機関が審査し、消費者に保証することだと述べました。

日本においては消費者と生産者の間の信頼関係が漠然と高いため(国産農産物は安心というイメージって根強いと思います)、あえてコストをかけて認証をとる生産者が少ないという現状があります。有機JAS認証の農産物を選ぶ人もまだ少なく全体流通の0.3%程度に過ぎません。ましてやGAPマークがついていたとしてそれを選ぶ消費者がどれだけいるでしょう?ということです。

 

しかし、日本の農業強化プランの中に「輸出」という項目がしっかりあり、輸出額向上の目標も立てられています。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/nousui/kyouka_wg/dai1/siryou6-1.pdf



 

海外での流通を考えるのであれば認証取得にも意味があるのでは?

という考え方もあります。

 

農林水産省は日本の食品輸出額は5年連続前年比を上回り、中間目標の7000億円を前倒しで達成、2017年には8000億円を超えたと快調をうたっています。

 

ただし、その内訳をみてみると水産物が37%、加工食品が30%(加工食品の原材料は外国産も多い)

青果はわずか全体の3.2%、米とコメ加工品は2.7%にすぎません。

つまり全体のボリュームから見ると実はかなり小さいのです。

 

それもそのはず、日本の高い人件費をベースに生産・流通された農産物をわざわざ海上輸送で鮮度を落として海外で高値で売って需要があるのか?

と考えると、それは無理でしょう。となります。

一部フルーツなどは超高級品として需要があったり、最近では日本では需要の低い中玉のリンゴをタイなどで販売するという取り組みが注目されています。(以前マイファームつくる通信で取り上げた株式会社日本農業 http://nihon-agri.com/ の取り組み)


※リンゴなど果物の輸出にとりくむ日本農業株式会社(マイファームつくる通信2017年9月号にて紹介)

 

こうした一部の例外を除けば、海外に拠点を作ってそこで生産流通したほうがはるかに有利と言えるでしょう。

実際に海外での施設栽培などに協力する日本の生産者は一定数います。

 

となると、認証ももちろん生産国でとるべきですし、日本でコストをかけて認証をとった高い農産物を、輸送コストと販売リスクを抱えて海外に送り出すメリットが実に低いことがわかると思います。

 

結論として、私自身の意見としては一過性のオリンピック食材をめぐって認証を強化しようという取り組みに対してはおおむね否定的です。

もちろん一部大規模生産者にとっては、業界内での優位性を保つことや生産現場の健全労働環境をアピールできるなどの効果は期待できると思います。

 

ということで2回にわたって日本の農産物認証と輸出の可能性について考えてみました。

新しい取り組みに対してネガティブな意見はあまり述べたくないところではありますが、日本の農産物はやはり日本に来ていただいて、その地域地域で食べていただくことが最も価値があることだと思います。

 

というわけで東京アグリツーリズムをボチボチと始めております。

東京食農観光→https://hatakenbo.org/tourism_en

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文・写真  小野淳
㈱農天気 代表取締役 農夫
NPO法人 くにたち農園の会 理事長
東京・国立市を拠点に幅広く農体験を提供
「都市農業必携ガイド」(農文協)
監修・実演「菜園ライフ~本当によくわかる野菜づくり」(NHKエンタープライズ)


 
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