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農天気代表 小野淳さんの『農』天気ブログ/夏野菜の苗、品種はどう選ぶ?

農天気代表 小野淳さんの『農』天気ブログ/夏野菜の苗、品種はどう選ぶ?

農天気代表 小野淳さんの『農』天気ブログ

夏野菜の苗、品種はどう選ぶ?

~このサイトを見ればプロ目線がわかる!~


いよいよ夏野菜の作付けシーズンですね。
トマト、ナス、キュウリは家庭菜園の定番、これから始めるという方もベテランもこの時期になるとソワソワとホームセンターの園芸コーナーを行ったり来たりするものです。
私ももちろんその一人、ホームセンターに立ち寄っての苗チェックは週2,3回ぐらいは確実にやっています。
以前は夏野菜の作付けといえばゴールデンウィーク前後が目安といわれていましたが、年々苗の出荷タイミングが早くなっているような気がします。
今年は3月下旬にはすでにトマト・ナスの若苗を置いているところもありました。

考えてもみれば夏野菜の苗との出会いは、まさに里親・の里子のようなものです。
特に夏野菜は4カ月ほどの長い付き合いですから特にじっくりと選びたくなりますね。
自ら育苗しているものもありますが、新品種や色形の特殊なものなど、私はバラエティに富んだ畑づくりが好きなのでついつい買いすぎてしまいます。
 
一般的に苗を買う場合に注意するポイントは下記の通りでしょう。
 

  1. なるべく店頭に並んですぐの物を買う(店舗の管理状況によって品質は大きく変わります)
  2. 管理状況の良しあしは双葉で判断(最初の双葉が元気に残っているものはストレス少なく生育した証拠です)
  3. 茎が丈夫で、葉に張りがあり、節と節の間が短いものを選ぶ

あとは長く収穫しようと思った場合に接木苗を選ぶといいでしょう。接木(せつぼく)とは成長して収穫する部分の苗(穂木)と茎の一部と根が伸びる苗(台木)が異なる品種を接いでくっつける技術のことで、病気に強い、耐久力があるなどの特徴があります。
 
そして悩みどころなのが品種です。
大きなホームセンターであれば10種類以上の品種がズラーと並んでどう選んでいいものやら皆目わからないことも少なくありません。
例えばトマト苗でも最も安く品種名すら時に書いていない「ミニトマト」とだけ書かれた苗が75円で売られている一方で、「サントリーの本気野菜 純あま」などは348円するなど価格だけでも大きな差があります。
ついつい安いものに手を出しがちですが、考えてみれば75円と348円でも価格差はわずか273円です。長期間収穫して場合によっては毎日のように食卓で家族が食べるものと考えるならば、価格で選ぶよりは、より良いものを選んだほうがいいと思います。
とはいえ、もちろんどの種苗会社も「病気に強く、多収!家庭菜園でも失敗が少ない!」と謳っていますのでますますわからなくなります。

そこで、今回お勧めするのが
「プロは一体どんな品種を選んでいるのか?」をチェックするです。
当然、出荷農家は苗選びは死活問題ですから売り文句に流されず、シビアな目線で選んでいるはず。基準は「高品質のものを安定出荷」です。
その際に参考になるのが、苗業界でも特に夏野菜苗の供給では日本でトップクラスのベルグアース株式会社の「苗出荷ランキング」です。
http://www.bergearth.co.jp/manufacturer/breed/ranking2018.html
 
このサイトには2013年からの月別の出荷数ランキングが掲載されています。農家に支持されている苗が一目瞭然にわかるとても便利なサイトなのです。
ビニールハウスなどの施設栽培が前提となっていることも多いので、見るべきは4月5月の出荷ランキングです。
 
例えば2017年4月のトマト・ナス・キュウリの品種ランキングは次の通りです。

定番が多いですが、手堅さでいえばこれが正解なのでしょう。さらに過去にさかのぼってランキングをチェックすれば、東の横綱・大関、西の横綱・大関の変遷が見えてきます。
生産者目線のこうしたランキングはなかなかありませんので、ぜひご参照ください。
 
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文・写真  小野淳
㈱農天気 代表取締役 農夫
NPO法人 くにたち農園の会 理事長
東京・国立市を拠点に幅広く農体験を提供
著書「都市農業必携ガイド」(農文協)
監修・実演「菜園ライフ~本当によくわかる野菜づくり」(NHKエンタープライズ)